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松島湾を「海藻の森」に 生物連鎖の形成に必要
 海松島湾は近年まで、航路と干潟を除く湾内に海藻が生い茂り、魚介類の豊かな海だった。1970年代、湾内に外洋水を導入し、清く美しい水に変えようと、湾口の鐘島水道から幹線の大澪(みお)を拡幅しゅんせつした。いわゆる松島湾大規模開発である。その後、松島湾は大きく変化し、自然のメカニズムに狂いが生じたのか、湾内に繁茂していたアマモなどがほとんど消滅した。アマモが根付いていた海底の土はヘドロと化し、死滅したアサリの黒い殻が累々と重なっていた。

 湾内での養殖ノリは、79年以降、採苗はできても芽の脱落が度重なり、一貫に成した養殖が不可能になった。多くの漁民が陸に上がった。現在もノリ芽脱落の原因を特定するに至っていない。桂島に隣接する大藻根島の浜は砂がなくなり、岩盤がむき出しになった。さらにアマモの消滅によって、魚の産卵と幼魚の餌場となる隠れ場がなくなり、ハゼ、アイナメ、ハダガレイなどの魚が減少した。

  

 ここで考えてみたい、なぜアマモが消え、アサリが死滅したのか。アマモは浅海に生育する。根から栄養を吸収し、光合成によって酸素を出し、アサリなどの魚介類に酸素を供給していたのである。大規模開発による外洋水の大流入により、湾内は浅海としての環境構造が崩れたと推察される。

 昔から湾内の透明度は良くなかったと考えられる。汚れていたのではない。松島湾を囲む丘陵・島々の腐葉土が雨とともに流入し、それが養分となって海藻が繁茂した。酸素が豊富になり、プランクトンが多く発生する。透明度が良くないのは当然である。松島湾は浅海なのだ。40年前に泳いだ松島湾は、子ども心にもきれいだとは思わなかったが、汚いとも思わなかった。

  25年経た今、わずかだが、アマモに回復の兆しが見える。現在、松島湾の海水温は3度前後だろうか。アマモとアカモクが波に揺られながら育っている。

 湾内の塩釜地先では、コンブとワカメが成長している。この海域の海水は栄養分に富みすぎており、コンブとワカメが栄養を強力に吸収し、海水浄化の役割を果たしているのは確かだろう。宮城県は、重点事業としてアカモクを利用した松島湾の海水浄化に取り組んでいる。自然の理にかなっていると言える。

  

 春の松島湾は、海藻が豊かに育っている。海水中の酸素も豊富である。6月になると、海水温の上昇に伴い、海藻に魚類などが産卵し卵が付着する。海藻は胞子嚢(のう)から胞子を放出し、8月下旬に海水温が下降期に入ると、幼芽となり成長期に入る。このように、海藻が主体となって魚介類などの生物連鎖が人間の見えない所で形成されているのだ。

 海藻の果たす役割は多様だ。食品としての海藻は、健康を維持する機能がある。海藻は藻場を形成し、自然な状態で魚介類の増殖に寄与している。海藻は生物が排出する二酸化炭素を吸収、酸素を生み出している。

 松島湾を昔のような「海藻の森」にするために何ができるのか。例えば、民間非営利団体(NPO)で松島湾自然博物館を運営し、子どもたちが自然に松島湾に触れ親しむエコ・ツーリズムを提供することなども考えられる。生産性の効率を追求するわけではないが、松島湾が自然の栽培漁業センターとなれば、前浜の漁業資源も確実に豊かになる。それが食の安定供給につながることを信じたい。
文:シーフーズあかま代表取締役社長 赤間廣志
※2004年月30日 河北新報掲載
 
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